ミス(した後)の儀式

侍ジャパンがヒットやホームランなどの良いプレーが起きた時に行うペッパーミルパフォーマンス*は、同チームの快進撃もあって目にする機会も多く、競技レベルや種目の枠も超えて大きく広がっています。
*「身を粉にして働く」「コツコツと粘り抜く」という意味に加えて「(胡椒などを)挽く」という意味も持つGrindに由来

このようなパフォーマンス(ジェスチャー)を、良いプレーが出た時ではなく、ミスをしてしまった時に行うことの意味・意義を紹介する記事です。

**********************

ミスは付き物のスポーツにおいて、問題はそのミス(過去)に囚われて次のプレーに影響を及ぼす事です。コーチや監督から怒号が飛んだり、チームメイトが落胆した態度をとったりしたら、尚更後を引くことでしょう。そして次のミスに繋がり、、、個人にとってもチームにとってもポジティブな経験になりません。

その対処法の実例を、Jim Thompson氏は著書the Double Goal CoachにてTeam Mistake Ritual (チームの失敗儀式)という見出しで紹介しています。以下、本文から幾つかを和訳・要約して紹介します。何となくの「ドンマイドンマイ!」との違いは、「儀式」としてのチーム全体の共通認識と取り組みにあると思います。

トイレに流してしまう(バスケットボール)

誰かがコート上でミスを犯した時、チームメイト達は手を挙げてトイレのレバーを上下するようなジェスチャーをし、時には「流しちゃえ!」と声に出す。

帽子を一旦脱ぐ(野球)

ミスをした選手は、一旦帽子を脱ぐ。脱いでいる間は、そのミスを悔んだりしても良い時間だが、被り直す時にはミスを過去のものとし、次のプレーに集中する。時には他の選手や監督も同時に行ったり、取った帽子で「さよなら」のように手を振って過去のものにしてしまう。

ヘルメットを2回たたく(ラクロス)

「ミスしても大丈夫。気持ちを試合に戻そう!」を意味するチームジェスチャー。

合言葉をチームで叫ぶ(サッカー)

誰がミスをすると、チームで決めた”Play On(続けよう!)”の合言葉がフィールド上に響き渡る。

2000年のオリンピックにて、ソフトボールのアメリカ代表が3連敗の崖っぷちから5連勝を飾って金メダルを獲得する際にチームが行った失敗の儀式も、同書籍にて紹介されています。

**********************

いかがでしょうか?チームでの取り組みとして試してみる価値は大いにあると思います。子どもたちが自分で作るのも楽しいでしょうし、根付き易いのではないでしょうか。「失敗なんか粉々にしちゃえ」という意味でペッパーミルパフォーマンスを行うのも良いかもしれません。

影響力のあるプロチームや代表チームが「ミス(した後)の儀式」を行い、「ミスは起こるもの」「大切なのは次」というメッセージや、ミスの捉え方・乗り越え方を子ども達や指導者に伝えてくれたら、それは素晴らしい事だと思います。

 

感情のタンクできるだけ遠くまで車で行こうとした時に、残り少ないガソリンで出発する人はいないでしょう。今回は、名著 the Double Goal C...