2020年1月、この世を去ったKobe Bryant。永遠に語り継がれる、紛れもなく史上最高のアスリートの1人です。彼をここまでの存在にならしめたのは、競争心の塊が集まったようなNBAの世界でも他の追随を許さなかった、その闘争心でした。
2016年に引退し、様々な分野へ活動の場を広げていたKobeがその闘争心を再び露わにしたエピソードがThe Aspen Instituteの追悼記事「Why Kobe’s Last Chapter Was His Best」にて語られています。The Aspen Instituteは、このブログ内で何度も紹介している、ユーススポーツ環境改善を目指すProject Playの母体です。今から紹介するのは、Kobeも深く関わったProject Playの啓蒙キャンペーンDon’t Retire, Kidの企画時に、追悼記事の著者である当時の企画責任者が、最初のプランをKobeに見せた時の話です。
続きを読む前に、下の記事を読んでほしいと思います。
”What do you think?(どう思う?)”と聞かれたKobeは、バスケファンならば見慣れた、激しい感情を込めて唇をすぼめた彼独特の顔で”It’s OK(まあまあだ)”と返事をしました。
著者は、”4つの言語を使いこなすKobeだが、ボディランゲージが一番ものを言う”と続け、Kobeが納得していなかった理由をこう説明しています。
He didn’t just want to wake up sports parents to the undue pressures they are putting on kids to perform. He wanted to punch them in the nose, these adults, many of whom were surely his fans.
Kobeはスポーツペアレンツに対して、彼らが子供達に与えている過度のプレッシャーに気付かせたかっただけではなかった。その多くは自分のファンだったに違いない彼らの鼻に一発くらわせたかったんだ。
Kobeが、”既に十分直接的だった”企画にもっと鋭さを求めた理由を、著者は過去の対話から知っていました。
引退後のKobeが、自分の娘Giannaが所属するチームをコーチしていた時、相手チームのコーチが相手選手に対して試合を通して罵声を浴びせ、ミスを責め続けました。選手達が受けている精神的虐待を嫌悪したKobeは、試合後にそのコーチを呼び止め、現役時代にNBAのライバルたちに向けた激しい怒りを込めた同じ目で相手を見据えこう言いました。
If you EVER act like that in another game in which I am coaching, you are going to have to deal with me. And trust me, you don’t want that.
俺の前で同じ事をしてみろ。俺を相手にする事になる。やめた方がいいと保障してやる。
このエピソードを聞いた瞬間、著者はKobeのユーススポーツ環境に対する誠実さ・本気さを悟ったといい、こう続けています。
I had never heard an athlete talk with such passion about sticking up for kids
子供の為に立ち上がる事に対して、これほどの情熱を持って話すアスリートは他にいない
このようなプロセスを経て誕生したのが、Project Playであり、Don’t Retire, Kidの動画であり、その他多くの活動です。
バスケットボール選手としての偉大な功績や、引退後に自身がエグゼクティブ・プロデューサー、脚本家、ナレーターを務めてオスカー賞を受賞した短編アニメ「Dear Basketball」の事を知っている人は多いと思いますが、彼がProject Playを通して実現したかったビジョンと、そこにかけた情熱を、もっと多くの人に知ってもらいたくてこのエントリーを書きました。
あるインタビューで、Kobeはこう語りました。
“Sports is the vehicle through which we change the world”
(スポーツを通して、私たちが世界を変えるんだ)
Project Playのサミットにて、Kobeは看板にこう書き殴りました。
“Dream Big, Live Epic.”
(夢を大きく持ち、壮大に生きろ)
(写真:The Aspen Institute)
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