為末大さんの著書、「生き抜くチカラ」を読んでいます。開いています、の表現が正しいかもしれません。読了がこない本です。
「スポーツから人生について学ぶ事は多い」と語るアスリートは少なくありません。ただ、その多くは発言が取り上げられるだけの成功を収めた選手によるものなので、生存者バイアスを意識する必要を感じる時があります。スポーツによって人生を狂わされた人もいます。
「生き抜くチカラ」は、陸上選手としてオリンピックに3度出場した為末さんが競技生活を通して培った知恵を、こどもが自然と人生に応用できる形に咀嚼した本ですが、一度も「スポーツ」という言葉が出てきません。「陸上」や「走る」という言葉も、「はじめに」と差し込みの短いインタビューに出てくるだけです。だからこそ、このHPに関心を持ってくれている人に紹介したくなりました。スポーツに息詰まっているこどもも、安心して読めます。スポーツで苦しんだ高校時代の自分に送ってあげたい一冊です。
- 「自分にはこの道しかない」なんて思わずに、「ほかの道もある」と気付くだけで、いまがとっても楽になる
- 「せっかくここまでやってきたんだから」には要注意
- 自分の「好き」「合っている」をみつけるために、とにかくなんでも経験する
- がんばるために、しっかり休む
(生き抜くチカラ、本文より)
優しい語りかけ口調の文と、ピッとした直線がない柔らかな絵で補足されながら、これらのことば達が散りばめられています。
気が付くと手に取って読んでいる息子達にとっては、「生き抜く」チカラの種になる本です。40前の僕にとっては、「息抜く」ことができる本でもあります。
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