コーチ・アスリートの声

上手くプレーできなくて泣く子供。どんな言葉をかけますか?

上手くプレーできなくて泣く子供に必要なのは「こうすれば良かった」「次はこうすれば」という声でしょうか?大人が伝えるべきことを考えるきっかけになればと思います。

今年1月に早すぎる生涯の幕を閉じた、NBAスターのKobe Bryant。このブログでも何度も紹介しているように、特に2016年に引退をしてからは健全なユーススポーツ環境を創るために積極的に活動をしていました。

コービーブライアントとユーススポーツコービーブライアントがProject Playを通して実現したかったユーススポーツ環境改善のビジョンと、そこにかけた情熱を、もっと多くの人に知ってもらいたくてこのエントリーを書きました。...

引退後のインタビューを編集した下の動画には、スポーツをする親・保護者にはぜひ聞いて(読んで)欲しいと思う箇所があります。その箇所以外も含め、順番を変えて訳文(意訳含)を載せました。

 

夏を通して1得点も出来ずに泣く子供時代のKobeに父親が送った言葉

I had a summer where I played basketball when I was 10-11 years old. And here I come playing, and I don’t score one point the entire summer. Not one. Not a free throw, nothing…not a lucky shot, not a breakaway layup. Zero points. And I remember crying about it and being upset about it.
バスケットボールをプレーした10歳か11歳の夏。夏の間を通して、一点も取れなかった。ただの一点も。一つのフリースローも、一つのラッキーショットも、展開が崩れた中でのレイアップも。0点だった。その事を泣いて取り乱していたのを覚えている。

And my father just gave me a hug and said, “Listen, whether you score zero or score 60, I’m gonna love you no matter what
私の父は、そんな私を抱きしめてこう言ってくれた。「よく聞いて。君が0点に終わろうと、60得点しようと、そんなことに関係なく私は君を愛しているよ

And that is the most important thing, that you can say to a child.
これは子供に言ってあげられる、何よりも大切な事だ。

Because from there I was “okay, that gives me all the confidence in the world to fail. I have the security there.” I tell this to my daughter, and my daughter’s team as well that I coach.
その言葉を聞いてから、失敗しても大丈夫だという自信と安心感が与えられた。同じことを私の娘やコーチしている彼女のチームにも伝えている。

幼少期から根幹にあった信念

And my parents, growing up, they instilled in me the importance of imagination, of curiosity.
私の両親は、想像力と好奇心の大切さを注ぎ込んでくれた。

Understanding that “Okay, if you want to accomplish something, I’m not just going to sit here and say, Yes, you can do whatever you want. Yes you can, but you have to also put in the work to get there”.
何かを達成したいのならば、ただそこに座って「何でもできるんだ」と言うだけではなく、辿り着くために力を注ぐ必要があるという事の理解。

And when you grow up as a kid thinking that the world is your oyster…all things are possible if you put in the work to do it. You grew up having that fundamental belief, it was really influential at a really critical time.
(シェークスピアの「牡蠣」という表現を用いて)力を注げば何でも可能であるという基本的な信念を持って育つ事は、本当に重要な局面で大きな影響をもたらす。

アスリートであることと、父親であること

And I’d go to practice and I’d train and I’d be sore and I’d be tired, and she wants to go swimming, she wants me to take her to the park, she wants to just jump on my back or whatever the case may be, You can’t say “I’m too tired. I’m going to lay down” That’s not fair. She doesn’t know what the hell is going on.
練習に行き、トレーニングをし、身体は痛んで疲れていても、娘はスイミングに行きたかったり、公園に連れて行ってほしかったり、ただ背中に飛び乗りたかったりする。それが何であろうと、「疲れすぎているから横になる」なんて言えない。フェアではないんだ。彼女はそんな事、知る由もないのだから。

引退後の喜び

What brings you the most joy right now?(今、一番の喜びを与えてくれるものは?)という質問に対して

Being with my family. That is, man, that is the most fun. Hanging out with them all summer. Being able to do things that I ordinally could not do because of training, because of games and stuff like that. So being around them and watching Bianca grow up, because a lot of things that I missed with Natalia and Gianna because I was playing. So being there everyday with them, they are so much fun man.
家族と一緒にいること。それが何よりも楽しい。夏の間中、家族と一緒に過ごせた。今まではトレーニングや試合によって出来なかった事が出来た。家族と一緒に居て、ビアンカ(三女)が育つのを見る事、、、ナタリア(次女)とジアンナ(長女)の時は選手としてプレーしていたから多くの事を見逃してしまっていた。だから、毎日彼女らと一緒に過ごせることは本当に楽しいんだ。

Sometimes I’d fly back. I’d play a game. And to not miss my daughter’s birthday. I’d fly back, be there for her birthday. And then fly back with the team. Just to make sure I don’t miss anything.
(現役時代は)娘の誕生日を逃さないために、試合の後に飛行機で自宅に戻り、そのあとまた飛行機でチームに合流したこともある。何も逃さないようにするために。

愛とは

What does love feel like for you?(あなたにとって、愛とは?)という質問に対して

I think I would describe love as happiness. I think I’d describe it as a beautiful journey. It has its ups and downs, right? Whether it’s in marriage or whether it’s in the career. Things are never perfect, but through love you can continue to persevere. And you move through and then through that storm, beautiful sun emerges. And inevitably another storm comes. And guess what? You ride that one out too. So I think love is a persistence to go through the good time and the bad time with the someone or something that you truly love.
「幸せ」と言い表すと思う。また、「美しい旅」とも表現すると思う。浮き沈みがあるだろう?結婚生活であれ、キャリアであれ。何事も完璧ではないけれど、愛があれば進み続ける事ができる。そうやって嵐の中を進み抜けた先に、美しい太陽が昇るんだ。そして次の嵐は必ずやってくる。どうすると思う?その嵐も乗り越えるんだ。愛とは、自分が本当に愛する人やモノと共に良い時も悪い時も歩み続ける強さだと思う。

In loving memory of

Kobe Bryant 1978-2020

Gianna Maria-Onore Bryant 2006-2020

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