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スポーツをする子供をもつ親のチェックリスト10項目

このブログで何度も紹介している、米国のユーススポーツ環境改善を目指すThe Aspen InstituteによるProject Play。今回は、同プロジェクトがHPに掲載している「スポーツをする6-12歳の子どもを持つ親のチェックリスト」を紹介します。10項目中、幾つ当てはまるかを数えてみてください。
原文:https://www.aspenprojectplay.org/projectplayparentchecklists

チェックリスト10項目

1.スポーツをしたい理由を子どもに聞いた事がありますか?

クラスメイトと楽しい時間を過ごすため、高いレベルでの競争で力を試したい、など理由は様々でしょう。その子どもが社会的・情緒的に必要としている事の理解が、適したプログラムを見つける第一歩です。

Play 1: 何を求めているのかを、子供に聞くNBAスター、Kobe Bryantによる、「子供達に選ばせる」事の重要性を訴えたメッセージです。子供達が創造・想像し、スポーツが楽しくある自由と柔軟性を持たせる事の大切さを説いています。...

2.どのスポーツに興味があるか、子どもに聞いた事がありますか?

120種類ものスポーツが存在する中で、数えられる程の選択肢の中からスポーツを選ぶ子どもが殆どです。子どもと一緒に、選択肢を探索してみましょう。

マルチスポーツのメリット
Play3(2): 色々なスポーツを積極的に体験する -Kobe Bryantスーパーマーケットで食品サンプルを試すように、複数のスポーツを試す事をスポーツサンプリングと呼びます。Cari Championのメッセージを紹介しましたが、Kobe Bryantのメッセージも非常に力強くインパクトがあったので、ここで紹介します。...

3.大人が介入しない遊びを推奨していますか?

マイケルジョーダンは、シカゴブルズとの契約の中に”Love of the game” Clause(ゲームへの愛条項)を盛り込みました。例えば近所の公園でのピックアップゲームなど、好きな時に好きな場所でバスケットボールできる、というものです。スポーツは組織化されているものに限られていない事を、子どもに伝えましょう。

自由な遊びが子どもにもたらす43の恩恵自由な遊び(Free Play/Unstructured Play)が子どもにもたらす43の恩恵を紹介します。...

4.子どもが参加しているスポーツプログラムはマルチスポーツを推奨していますか?

早期競技特化による弊害と、マルチスポーツが発達にもたらす恩恵は研究で示唆されており、トップアスリート達からの証言にもサポートされています。

スポーツの早期競技特化とは子供が単一のスポーツを早い段階から専門的に行う事(スポーツの早期競技特化:Sports Early Specialization)による怪我のリスク増加などの弊害は、研究を通して報告されています。では、何をもって「早期専門化」と判断するのでしょうか?...
マルチスポーツのメリット
子供がマルチスポーツに参加するメリット日本でも認識されてきている「マルチスポーツ」に子供が参加するメリットを身体の賢さの発育・怪我や燃え尽き症候群の防止という観点から紹介します。...

5.子どものコーチは、ユースコーチとしての重要な要素を学んでいますか?

優れたユースプログラムは、コーチング哲学・手法や技術・戦術、応急処置やCPRなどの安全確保のトレーニングをコーチ達に課しています。

Play7: 全てのコーチに教育をProject Playが設定した8つの障壁。その7つ目がWell-Meaning but Untrained Volunteers:良い意図だが未熟なボランティア(コーチ)です。そして、それに対する戦略として、Train All Coaches:全てのコーチにトレーニング(教育)を施すが掲げられています。...

6.子どもが参加しているプログラムは小さなスケールの、年齢に合った遊びを大切にしていますか?

子どもは大人のミニチュアではありません。年齢に見合った空間・用具・人数に調整する事によって、より楽しく・より良いスポーツ経験をする事ができます。

Play5: 限られたスペースを有効利用する子供たちがもっと遊べる環境をつくるには。2人の子供だけが使える大きなコートよりも、スペースとルールを工夫して10人が使えるようにしたり、大きな運動施設を一つ作るのではなく、小さなコート・フィールドを複数作ったり。何かを作らなくても、既存のスペースを想像力によって別の場所にしてしますこともできます。Think Smallの紹介です。...

7.子どもが参加しているプログラムは、練習と試合を適切な割合で提供していますか?

優れたプログラムは、試合よりも適切な練習を通して子どもは成長する事を理解しています。練習と試合の比率は、少なくとも2:1が推奨されています。

AAU/ユーススポーツへの警報 by LeBron JamesNBAのスーパースター、LeBron Jamesが現在のAAU(Amateur Athletic Union、アメリカのアマチュアスポーツを統括する団体)の在り方を”Out of Control (収拾がつかなくなっている)”と公に警報を鳴らしました。大人にコントロールされていないピックアップゲームの大切さなどにも触れており、日本のユーススポーツ環境と照らし合わせて考えるきっかけになればと思い、引用を中心にまとめました。...

8.子どもが参加しているプログラムは、平等なプレータイムを推奨していますか?

競技スポーツには強弱を分ける時がやってきますが、それは12歳以下で起こるべきではありません。子ども達は身体的にも精神的にも、興味関心にも成長しています。平等なプレータイムを含めて、全ての子どもに同じ成長の機会を与えましょう。

Play6: 育成・発達を意識する人は1人1人違う。子供は大人のミニチュア版ではない。そんな当たり前の事が、子供のスポーツ現場では忘れてしまいがちです。...

9.そのプログラムは体系的に子供や保護者からのフィードバックを求めていますか?

シーズン後のシンプルなオンラインアンケートによるフィードバック収集など、内からの声を大切にして質を向上させようとするプログラムを評価しましょう。

子供の運動に大切なFワードたちFワードとは、日常生活では避けるべき”F”から始まる罵りの言葉。子供には覚えて欲しくない類の言葉です。 子供の運動不足という世界的な問題に対して、9つのFから始まるキーワードがお互いにどう関連しているのかを理解し、運動量やカロリー消費だけに着目するのではなく、ライフスタイルの変化の複雑さの理解し、運動体験の質にアプローチをしていくべきだ、という内容です。...

10.そのプログラムはフィジカルリテラシー(体の賢さ)を養う努力をしていますか?

特定のスポーツスキルではなく、基本的な動作スキルに重点を置いた人生を通して活動的である能力・自信・願望を育てる事が重要であり、それは他の数多くのスポーツへの扉を開くことにも繋がります。

運動能力(Athleticism)とは「野球選手とバスケ選手、どちらが”Athletic”か」前の職場の同僚達との議論です。そもそも、運動能力とは何でしょうか。また、それを高めるためには何が必要となるでしょうか。 多角的な運動能力の向上を考えずに、競技に特化した限定的な動作を反復する事は、その子供のポテンシャルを制限させてしまう事になると考えられます。...

当てはまる数の評価

上記の10項目で、幾つが当てはまったでしょうか?下の評価を参考に、子どものスポーツ環境を振り返るきっかけにしていただけたらと思います。

  • 9-10=子どもにとって理想的な環境でスポーツをしている
  • 6-8=しっかりとした基礎を押さえてある
  • 3-5=もっとできる事がある
  • 1-2=もっと為されるベき事がある

セミナー情報

4月4日に、ZOOMを使った以下のオンラインセミナーを開催します。興味・関心のある方は、こちらから詳細を確認してください。